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Junk
D.Gray-man
どうか、どうか。
神様、もう少しだけ。
「、大丈夫ですか?」
『アレン君。大丈夫、今日は調子良いから』
黒髪を揺らしながらは笑う。
読んでいた本をベッドの傍の机に置き、ずれたカーディガンを肩に掛け直す。
アレンはの顔色が良かったことに安心した。
「神田は来てないんですか?」
『ユウ?もうすぐ来ると思うけど』
前よりは良好になったとはいえ、神田とアレンの仲はまだ悪い。
兄のはこんなにも穏やかで人当たりが良い。
しかし弟の神田はあんなにも喧嘩っ早く、愛想も悪い。
どうしてそこまで対照的なのかとアレンは常々疑問に感じていた。
『ねぇ、アレン君。、まだ帰って来てないよね?』
「はい……」
『そっか、良かった』
が笑うのを見て、アレンの胸が痛む。
いつも通りの綺麗な笑みで、声で。
はあまりにも残酷なことを言う。
は常にと組んで仕事をするエクソシストであった。
攻撃的なと、のサポートに回る。
二人のコンビネーションは抜群で、それぞれが卓越した戦闘能力を誇っていた。
今は、ラビと組んで任務先へ派遣されている。
『ごめんね、アレン君。あと少しだから』
唇を噛み締めて涙をこらえるアレンの頭を、は優しく撫でた。
『あと少しだな、ラビ』
「そうさな」
は窓から身を乗り出して夜空を見つめる。
きっとはのことを考えているんだろう、と。
の背中を見つめながら、ラビはそう思った。
「と仲直りしないんか?」
『しないよ。アイツが裏切ったんだ』
コムイからとに任務が下された時、その場でははっきりと告げた。
とはもう仕事をしたくない。
これからは一人か、誰か別のエクソシストと組んで仕事をする、と。
その言葉通りは今回の仕事を降り、代わりにラビがと組むことになった。
『……俺、何かしたのかな』
苦しそうに呟くを、ラビは見ることができない。
が知らない事実を、ラビは知っている。
いや、以外の皆が知っている事実がある。
はその事実を誰にも知らそうとはしなかった。
その事実を聞き出したのはラビたち。
それが無ければ、は独りその事実を胸に秘めて誰にも明かそうとはしなかっただろう。
それこそ、墓場まで持っていく覚悟で。
「ん?」
『ユウのゴーレムじゃないか?』
窓から入り込んできたゴーレムは、ラビの前に回りこんで浮遊する。
「ラビ、」
ゴーレムが神田の声を二人に伝える。
神田の声は、今まで聞いたことが無いくらいに暗く、震えていた。
泣くことをこらえながら、神田は告げる。
「兄貴が……が、ついさっき死んだ」
その後に映し出されたの死に顔は安らかで、まるで眠っているようだった。
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