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Junk
Air Gear
本当に、胸を切り裂かれてしまったかのような痛み。
「!」
『よぉ、樹』
イツキ?
誰、それ。
の新しい恋人?
聞きたくても聞けない。
には、そんなことを聞く勇気は無い。
「後ろに居るの、誰だよ」
『のことか?』
後ろでA・Tを履いていたをが見る。
一瞬だけ絡まった視線は、が先に外した。
『はうちのメンバー。高さとかテク重視だな』
「へぇ……ジェネシスのってこんなに美人な人だったんだ……」
樹はを見てくる。
僕は、美人でもなんでもない。
は心の中で、そう呟いた。
本当に、どこにでも居るような平凡な人間。
きっとジェネシスに入っていなければ、誰も自分のことなんか知らないだろう。
とりあえず社交辞令として挨拶だけはする。
『こんにちは。です』
「小烏丸の南樹です!」
樹は気さくで、とても明るい。
こういう人間ばかりなのだ、の恋人は。
は内心、複雑な思いに駆られた。
『じゃあ僕、跳んでくるね』
言い終わるか終わらないかのうちに、は地面を蹴った。
これ以上、惨めになりたくなかった。
「うわ……すげ……」
『高いだろ?のジャンプは』
「さすが胡蝶のだな……」
その呼び名の通り、胡蝶のように優雅に宙を舞う。
太陽の光を浴びて髪が金糸のように輝き、見る者を惹きつける。
「あれ、お客さん?」
『お、スピ』
炎の帝王、スピット・ファイア。
たちジェネシスのメンバーで、親友。
シムカ、スピット、、。
それぞれに秀でた技を持つ、タイプの違う天才たち。
「が跳んでるの?」
『あぁ』
は眩しそうに目を細める。
はただ一人、目を閉じて舞っている。
『ちょうど樹との話してたんだよ。やっぱ胡蝶だな、ってさ』
「胡蝶……ね」
スピットはを見つめながら呟く。
「僕には、イカロスに思えるけど」
太陽に焦がれるあまり、蝋の翼で飛び立った青年。
太陽の熱で蝋を溶かされ、翼をもがれて。
最終的に、イカロスは地に墜ちてしまった。
今のは、イカロスのよう。
高く、高く飛んで、届かないものに手を伸ばそうとする。
傷つけられても、自分を止めることができずに、飛び続けて。
「僕も跳んでくるよ」
一跳びでの元へスピットは近寄る。
「や、」
『スピ、どうしたの?』
「と一緒に跳びたかったから」
『……ありがと』
はスピットの気遣いに感謝する。
少なくとも、誰かが居てくれることで気は紛れるだろうから。
「太陽って、決して手が届くもんじゃないんだよね」
スピットが呟く。
は、決して下に居ると樹を見ないようにしていた。
決して届かないと知っていながら。
それでも、手を伸ばしてしまうのは愚かなのだろうか。
(
後書き:えーっと、エア・ギアを一度も読んだこともなく、アニメも見たこと無い状態で書きました。
なので、色々間違っているとは思いますが、そこらへんはお見逃しください。)
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